« 2007年12月 | トップページ | 2008年2月 »

2008年1月

2008年1月11日 (金)

2008年、SMBでの第二次ERPブームとBPOとしてのSaaS

SMB(中堅中小企業)市場に強いIT調査会社ノークリサーチの発表によると、2008年はERP(統合パッケージソフト)が第二のブームという。伊嶋社長のお話は数年前に何度か聞かせていただいたが、日本のSMBの情報システムについて、現場をよくご存知だと感心したことを覚えている。

大企業が戦略的に新しいトレンドを取り入れようとする方向があるのと比べて、中堅中小企業は実利的であり、石橋も他人が渡ってどうも大丈夫そうだと確信するまでは渡らない傾向がある。先走って危ない橋を渡るより、それはそれで賢い合理的なやり方なのだ。

ZDnetは、これを守り中心と報道した。確かにそれは発表要旨にあることなのだが、中堅中小企業が攻めのためのIT投資を活発化したことはあまりなく、何を今さら感が強い。日経ITpロはそこではなく、「SMBに第2次ERPブームが到来」と見出しをつけたが、こちらの方がより本質をついている。いよいよ「カスデベ(カスタム開発)」の時代が終わろうとしているのだ。来る来るといわれ続けて何年も経ってやっとSMBにとってのERPは他人がいっぱい渡った安全な橋と変わったようだ。実装に関わるSI、営業、開発者など導入のエコシステムがこなれていよいよ収穫期を迎えたのだろう。

ビジネスプロセスアウトソースとしてのソフトウェア(SBPO)

何でも略語にしなくていいのだろうが、日本のSMBに受けるのはSaaSじゃなくて、何かを端的に言うのに、SBPO(ビジネスプロセスアウトソースとしてのソフトウェア)と名づけるのはどうだろうか? ノークリサーチが定義するSMBは年商5億から500億円というレンジの企業だが、その下の層たるSmallBizは自前のERP導入などは及びもつかない。ではどうしているかというと、TKCとかの税理士・会計士つきのサービスを長らく利用してきた。株式会社バックオフィスとかのサービスもある。

世間がASPだとかSaaSだとか騒いでいるが、そんなことより早く業務アウトソースサービスを使ってきたのだ。こんな便利なものを手放す気にはなかなかなれないだろう。また、それより高いレベルで財務を経営に生かそうとかなるとOBC勘定奉行とか、Smile αとかのローエンドERPが確固たる足場を築いている。

こういう日本市場にSaaS型ERPが食い込んでいくのは大変だろう。マイクロソフト時代の元上司に先日会った時にもこのことを聞いた。グローバルカンパニーで働いていて何が辛いかというと、本国とギャップが大きな市場で孤軍奮闘することなのだ。売り上げという結果を出しにくい。また、パートナー販売でがっちり売り手の構造が出来上がっているのでそこを切り崩すのは大変だ。

この外資SaaSが日本のSMB市場で苦戦するという図式は、日本の遅れを示しているとは思わない。SMBは地域ごとに違う行動様式を持つということなのだ。北米式のやり方が通る地域ももちろんあるが、そうでない地域も少なくない。そして、日本はSaaSの先を行くSBPOに自信を持ってもいいだろう。逆に言うと、見込み客獲得、売り上げパイプライン管理、既存顧客のフォローとかいう顧客ライフサイクルをトータルにサポートできるから売り上げが増やせるというトータルなERPならではのメリットとかを外資SaaSベンダーが示し、企業の変革にまで進めていくとこができれば、チャンスが生まれてくるだろう。

ただ、こういう先進的な利用は大企業やベンチャー企業の方が取り組みが早い。統合パッケージ型SaaSが離陸するよりも先に、CRM/SFAだけを切り出したSaaSが大企業から広まり、2009年以降にSMBにも広まる兆候が出てくるかもしれないが、このあたりはCRM/SFAを本当に生かして成功する企業が目立ってきてからだろう。

SaaS は日本では苦戦する」というサンマイクロ高橋さんの予測には、半分Yesで半分Noという感想を持った。コメント欄にも書いたが、日本のSmallBizはSaaSの先を行っているとも言えるし、すごく遠いところにも居ると思うのだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月 4日 (金)

箱根駅伝と高校サッカーに学ぶ日本化して盛り上げる3つの方法

正月はつい、テレビにかじりついてしまう。

長距離走は、一人で走るものなのに、タスキで繋いで、山あり谷ありのコースを大学対抗で走るという仕立てが面白く、毎年何らかのドラマが起きる。2008年の往路であれば、早稲田の健闘だろう。木下哲彦(当時:現 金哲彦)氏が卒業されて以来、山登りで頑張る早稲田を忘れていたのでうかつにも出かけてしまったのが悔やまれたくらいだ。

そして、高校サッカー。各都道府県代表の高校生が競い合う様は、正月というふるさとを思い起こすタイミングに似合っている。今やレベル的にはユースチームの方が上だったりしするのだが、身近な高校生が頑張っているという姿には別の感動がある。

日本化して盛り上げる3つの方法

  1. 世界とは切り離す
    世界に繋がっているグローバルスタンダードだけが正しいとは限らない。
    唯一無二の存在にして、相対的な価値など忘れさせるのはいい方法だ。「高校サッカー選手権優勝チームは、xxと対戦できる」なんてやってはいけない。大学ラグビーが最近いまいちなのも、社会人も含めた大会とのつながりで、所詮大学生としらけた面がありそうだ。
    一方、箱根駅伝なんて箱根でしかできない。そもそも、出場資格が関東の大学じゃなきゃだめというローカル大会だ。
  2. 歴史、地縁、季節、行事と結びつける
    箱根駅伝は、江戸時代、東海道の宿場町を旅した歴史も思い起こされれる。
    高校サッカーは、高校野球に倣ったと聞く。地元のチームを応援しようという習慣をくすぐられるし、テレビ的には、地元のチームをローカル放送で見て楽しむこともできる。
    箱根駅伝自体が歴史が長く、CMに入る前にその映像を流したり昔のことのエピソードを話すのは価値を高める一つの方法だろう。
    箱根駅伝は、正月だから交通規制をしてこんな大会を開けるという大会であり、富士山を拝めて正月らしさがある。また、冬はサッカーの季節という刷り込みもあって、なじみやすい。
  3. 集団への自己犠牲、悲運のヒーローを作る
    今回の箱根駅伝は3校も途中棄権があり、識者の苦言も聞こえてくる。しかし、そもそも長距離走は本質的には個人的な競技であり、アクシデントもありえる。マラソンで途中棄権しても自分だけのことで済むのに、駅伝だとチームに迷惑がかかるからと無理に頑張る状況が生じているのは、集団への自己犠牲を美しいと考える日本的な美意識が生んだ競技ということなのだろう。
    「小学生クラス対抗30人31脚」なんて、究極の集団競技かもしれない。同じ速さにあわせないと上手く走れないのだ。
    高校サッカーでも、怪我をおして出場とかいうドラマが尊ばれる。ちょっと前までは、超高校級の選手の活躍が目玉だったのだが、有望選手の多くがユースチームに流れるようになって身近な悲運のヒーロー探しへと方向が変わっているように感じる。
    いずれにしろ、勝者を映すだけでなく、対比としての敗者がいること、転んだり失敗したりとかいうドラマが欠かせない。

集団への自己犠牲とか、個人的なものを団体競技に仕立てるとかいうのは、応用が利くかもしれない。ネットワークゲームやサービスもこのあたりに日本で受けるためのヒントがありそうだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年12月 | トップページ | 2008年2月 »